12年春の叙勲が29日付で発令された。道内からは209人が受章した。瑞宝小綬章の元高校校長、後藤敬さん(73)=北広島市=と、旭日双光章の元幌加内町議、北村忠一さん(72)=幌加内町=の2人に受章の喜びを聞いた。
◆瑞宝小綬章
◇高校での教員生活40年−−元高校長・後藤敬さん(73)(北広島市)
62年に道立喜茂別高校を振り出しに、高校で国語教諭として教壇に立った。退職後、中国浙江省の浙江万里学院教授として日本文化を教えた経験もある。
40年間の教員生活で、14年間は校長。特に思い出深いのが96年から校長を務めた有朋高(札幌市)。「初めて教育の神髄が分かった」と話す。
同校は通信制と単位制。約6800人の生徒が在籍し、最高齢は80代。子供のころ、勉強したくてもできなかった人が多かった。卒業式で、自分よりも年上の生徒が卒業の喜びから顔を紅潮させ手を震わせながら卒業証書を受け取る姿を見て、自分の足まで震えてきた。「勉強したいという気持ちに応えるのが教員だ」と実感した。
広い道内を異動し、子供3人を残して妻と赴任したこともあった。「家族には苦労をかけたが、いつも支えてくれた。受章は家族への恩返しです」と喜んだ。【小川祐希】
◆旭日双光章
◇町議11期、そばブランド化−−元幌加内町議・北村忠一さん(72)(幌加内町)
そばの作付面積日本一で知られる幌加内町。67年から連続11期44年間、町議を務め、正・副議長も歴任。一方で、約30年間、そば生産に打ち込み、「幌加内そば」のブランド化に尽力した。
「ここで作られたそばは全国各地で使われているが、製粉されればその土地のブランドに変わってしまう。産地の幌加内の名前を知ってもらいたい」と新そば祭りを発案。94年の初回から10回目まで実行委員長を務め、道外からも観光客が訪れる一大イベントに育てた。「最初は人が来るかどうか分からなかった。そばが足りなくなったこともあった」と振り返る。
来年、新そば祭りが20回を迎え、副理事長を務める全国麺類文化地域間交流推進協会の20周年という節目。「そば文化をもっと発信したい。道内では定着してきたが、幌加内ブランドを全国にもっと知ってもらいたい」と意欲は衰えない。【横田信行】
4月29日朝刊
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